2015年12月31日木曜日

鑑賞 日本の美術(後半部分)

室町時代以降~現代の美術についてまとめます。

室町時代の美術には、当時日本に伝わってきた禅宗の影響があります。雪舟の描いた水墨画は中国に学び、独自の境地にまで至った画風です。中でも秋冬山水図が有名です。建築では足利義満が建てた北山文化の鹿苑寺金閣(金閣寺)があげられます。足利義政の建てた慈照寺銀閣(銀閣寺)は東山文化を代表する書院造の建築です。禅宗様の様式も有します。こうした様式は今の日本の和風建築にも連綿と受け継がれています。

桃山時代には、武家と豪商の絢爛豪華な様式がもてはやされました。絵画は障壁画が描かれました。長谷川等伯の松林図屏風は屏風絵として描かれました。建築では天守閣をもつ城郭建築が発達しました。姫路城は城の全域が残る最大のものです。

江戸時代には、
元禄文化…大阪の商人や町人を中心にした上方文化
化政文化…江戸の町人を中心にしたしゃれやこっけいを楽しむ文化
に時期によって分けられます。元禄期に菱川師宣をはじめとして浮世絵が描かれるようになり、化政期になると版画として多く刷れるようになり庶民に広がります。喜多川歌麿美人画)、東洲斎写楽(役者絵)、安藤広重、葛飾北斎富嶽三十六景)など、のちの西洋の印象派以降の画家たちにも大きな影響を与える作品を残しました。絵画では狩野派の狩野探幽(御用絵師)、俵屋宗達風神雷神図屏風尾形光琳が知られます。円山応挙(円山四条派)、与謝蕪村(文人画)、建築では桂離宮や二条城が有名です。

明治期以降の美術
西洋美術が流入し油絵の技法が広まります。そして日本の美術がフェノロサ岡倉天心などによって見直され復興します。

横山大観、橋本雅邦、狩野芳崖などの日本画家や、高橋由一、黒田清輝、岸田劉生などの洋画家が活躍しました。彫刻では高村光雲などが知られています。




日本美術全集1 日本美術創世記 (日本美術全集(全20巻))

2015年12月23日水曜日

イタリアの画家 セガンチーニ

この表題の画家の特別展を高校生の頃、友人に誘われてついていったことがありました。私もその友人も運動部でした。わたしは美術を選択していましたが、それまでは熱心に美術館に行くほどではありませんでした。

その友人はこの街でセガンチーニが揃うことはまずないから見に行こうと誘ってくれました。断る理由はなかったので、ついていったのでした。

すると、そこには目を見張る明るい絵が並んでいました。この画家は北イタリアの生まれの風景画家です。この明るい画面は北イタリアに広がるアルプスを背景にその高原地帯の光線の明るさがそのまま絵になったかのようでした。

この画家はほとんど色を混ぜることをしません。色は混ぜてしまうと彩度がどんどん落ちてしまいます。そのことを十分知っていたのです。

ほとんど点描ともいえる画法です。タッチは大きな絵でも小さく変わりません。どれほどの時間をかけて描いたのでしょう。気の遠くなりそうな作業です。

どの作品もはじめて見る絵でしたが、日本にも倉敷の大原美術館(一見の価値あり)に「アルプスの真昼」など有名な作品があります。日本には白樺派の人々が紹介しました。明治の末のころのことです。

どうして私の友人がセガンチーニのことを知っていて、美術館に足を運ぼうとしたのか、たずねたのかもしれませんが、忘れてしまいました。それよりも鮮烈なそれらの絵の印象はいまだに忘れることがありません。

それ以来、私はひとりでもその丘の上にある美術館に足を運ぶようになりました。ある展覧会では、私が最後の展覧会の来館者だったこともあり、私が見終わった絵から片付け始めている様子が何ともおかしかったことを覚えています。




NHK世界美術館紀行〈8〉ウィーン美術史美術館・オーストリア美術館・セガンティーニ美術館

2015年12月21日月曜日

デッサン描き方のポイント

デッサンをするときにはポイントがあります。

ひとつはものを単純な形にで捉えることです。例えば人間の頭は楕円形や卵型、体は円柱、腕や手足も関節ごとに円柱とします。この際、指などの細かいことは気にしません。手全体で一枚の板のように捉えてかまいません。

これらの立体の比率は大切です。人体はある決まった比率を持っていることは以前このブログで説明しました。これらのパーツの立体をつなげたものを向いている方向や視点の高さから考えて、投影図として書いていきます。

単純な立体の組み合わせで、大まかな形が描けたら、それを滑らかにつないでいきます。向いている面をしっかり捉えることをポイントにします。

もうひとつは、明るさの違いをよく観察することです。必ず光がどの方向から射してくるか見極めて、明るさの段階ごとに面の明度を決めていきます。

鉛筆の濃さを変えていき表現するといいです。この明る差の違いを表現することができたら、もののもつ立体感を表現することができます。

この明るさの違いは、最初は一番明るいところと一番暗いところを見つけることから始めます。すると残りの部分はその中間の明るさになるはずですから、つながりを考えていけば、どの濃さにするか決めることができます。

わかりにくい人は立方体や球を描くつもりで、下の図を印刷して塗ってみてください。



2015年12月20日日曜日

色の持つ効果

色をうまく組み合わせることで様々な効果を生み出すことが可能です。

例えば次の図を見てください。どちらもバックの色は同じです。中心の○の部分だけ変えてあります。どちらの○の方が飛び出して見えるか一目瞭然だと思います。

基本的に暖色系の色は飛び出して見えますし、彩度が高い色もそうです。また明度の違いであれば明度は高いほうが飛び出して見えます。こういう色を進出色といいます。

それに対して、基本的に寒色系の色は後退して見えますし、彩度が低い色もそうです。また明度の違いであれば明度は低いほうが後退して見えます。こういう色を後退色といいます。

色を組み合わせる(配色)ことで、さまざまな印象を持たせることができます。色をおくバックの配色を変えるだけで、中心部の色の印象を変えたり、違った色に見せたりすることができます。これには彩度対比、色相対比、明度対比があります。下の図を見てください。

(1)彩度対比
左右で比べますと中の丸は同じ彩度ですが、背景の彩度が違うと右の方が鮮やかな色に見えませんか。
(2)色相対比
左右で比べますと中の丸は同じ色相ですが、背景の色相が違うと左の方が青っぽい色に見えませんか。
(3)明度対比

左右で比べますと中の丸は同じ明度ですが、背景の明度が違うと右の方が明るい色に見えませんか。

2015年12月19日土曜日

こたつの中でできるタイル画

タイル画とはきれいな色の材質のものを使って、絵にすることです。材質は何でもいいです。ふつうはその色のものを集めて、同じ色のところに貼っていきます。

よく使われるのは、卵の殻です。
1.目玉焼きしたときの殻を大きいままよく洗い乾かします。そうして外側に好きな色を塗ります。アクリル絵の具が乾いたら水濡れに強いのでいいでしょう。ほかにもこうした貼り絵などに使える手で折れる色プラスチックの材料が、手芸やさんや画材店、最近ではハンドクラフトなどを扱う店にあります。

2.こうした彩りごとの卵の殻を大きく割り、仕切りのある箱などに分けて入れておきます。

3.まず下絵を描きます。最初はやさしめの画題を選んだほうが無難です。あまり細かい絵もはじめは避けたほうがいいです。しっかり輪郭線を描くようにします。閉じた輪郭線になるようにすると、卵の殻をおいていきやすいです。

4.絵の素材に合わせて、先ほど準備しておいたさまざまな色の卵の殻を色が出るほうを表にして、木工ボンドで貼り付けていきます。

5.このはりつけていく卵の殻はあまり小さく割ってしまうと仕事がはかどりません。根気のある人はいいですが、途中でいやになってしまうようなら最初から大きめの殻を使うことをおすすめします。

6.たまに遠くから見て、彩りやバランスをみて貼り付けます。できあがってくると、このタイル絵(貼り絵)の面白さがわかると思います。

7.プラスチック片を使う場合は高さが揃いますので、あいだにパテのような材質のものを埋めて平面に仕上げることが可能です。

わたしは姫路城を色プラスチックで描いたことがあります。何より達成感がありますし、思いのほかタイルならではの味わいが出てきます。

殻に塗る色を中間色にしたり、逆に原色にしたりすると雰囲気を変えることができます。
いろいろ工夫すれば面白い作品をつくることができます。額や写真立てに入れて飾るといいですし、額に入れてオリジナルのプレゼントにもいいですね。



2015年12月16日水曜日

版画の刷り方

年賀状を書くシーズンですね。版画にしようかなという人もいるかもしれませんね。学校でも版画に挑戦している人は、ぜひ読んでみてください。版画についてまとめました。

(1)版画の種類
a凸版…輪郭線の周囲を彫り、彫らなかった部分にインクをつけ、版画に刷ります。この方式の版画には木版画、ゴム、紙の版画によく使います。

b凹版…輪郭線の部分を彫刻刀で彫り、その部分にインクを付け、版画に刷ります。この方式の版画にはエッチングやドライポイントに使われます。

c平版…油と水が混ざらないことを利用します。油の部分にインクを付けて版にします。石版のリトグラフなどで用いられます。

d孔版…版につくった穴よりインクをを通して版画とします。シルクスクリーンやステンシルで用いられる技法です。

(2)彫刻刀
a三角刀:細かな線やしっかりした線を彫るときに使われます。
b丸刀:太くて柔らかい感じに彫れます。
c平刀:ぼかしたり、かすれたりするような表現ができます。
d切り出し:細い線を彫るのに使われます。
この4種類が基本となります。

版木を彫っていくときには、きれいに彫れたかどうかチェックする方法があります。紙に鉛筆をこすりつけ、版木の模様を写し取り裏側から透かして見てみます。その様子からきれいに彫れたか、そして彫り残しなどがないか確認します。

陽刻:版画には輪郭線を残すようにして周りを彫っていく方法です。
陰刻:輪郭線を彫って周りを残す方法です。

陽刻は明るい雰囲気になりやすく、陰刻は暗い様子になりやすいです。版木にインクをつけ、紙を重ねて紙の上からばれんを使って、紙の中心から円を描くように刷り、端に向かって四隅まできちんと刷っていきます。



2015年12月14日月曜日

画家の本物の絵を見てみよう

皆さんは美術館に行ったことがありますか。一度機会があったら訪れてみてください。そこにはたくさんの絵や彫刻があります。

でもそんなに難しく考えなくていいです。自分のお気に入りの絵を探しに行こうというような軽い気持ちで行き、むしろ雰囲気を味わいに行くようにすればそれでいいと私は思います。

絵を見る人に絵を描いた人の想いが伝わってくるような絵が、すばらしい絵だと私は考えます。みなさんはどうでしょうか。

「生きている」というか作者の息づかいがそのまま絵から伝わってくるようなときがあれば、その絵とあなたが通じ合ったことになります。波長が合うというか、自分の気持ちに波風を立てさせるというか、そんな気持ちになる絵を探しに出かけてみてください。

感受性豊かな中学生の皆さんですからいろいろなタイプの絵を見てみることをお勧めします。そしていまの時代は美術の世界には様々な表現の仕方があります。

一瞬何だこれ?と思わせたり、ユニークな形や遊び心にあふれた作品など表現したいテーマもさまざまです。

結構、美術館は気持ちを解放させてゆったりといすにすわって一枚の絵の前でたたずむだけでも充実した時間と感じられるときがあります。たまにはそういう場所に自分を置いてみてはどうでしょうか。


2015年12月12日土曜日

「ポスターの作り方」の練習問題

ポスターを作る手順についての練習問題です。資料集やこの何回か前のブログをよく理解してから以下の問題を解いてみましょう。


1.ポスターをつくる手順をまとめました。もっとも描きやすい手順の順番に記号で並べましょう。なお、③が最初になります。

色や表現を視覚的な効果が最も大きくなるように考えたスケッチとキャッチコピーを効果的になるように配置するレイアウトをつくる。
 
考えのまとまったスケッチ(イラスト)とキャッチコピーを下描きする。

学校の行事や、社会の問題、主張したいこと、PRすることなど…ポスターにするテーマを選択する。
 
関係する画像(著作権に注意)を集めたり、写真を撮ったり(肖像権に注意)して資料を収集していく。アイデアを記録し、テーマについて情報を収集したり、対話、調査する。
 
考えを具体的にするために、思いついたことを多めにスケッチをする。

ポスターカラーで広い面積や背景になる部分から色をのせていき完成。
 
効果的な色や表現法を考え、選択する。

効果的なキャッチコピー(文のアイデア)やキャッチフレーズ、文字のレタリングデザイン原案を考える。
 
答え ③→④→⑤→⑧→①→②→⑦→⑥


2015年12月10日木曜日

絵の種類

絵には様々な種類があります。主なものを説明しましょう。

(1)風景画
風景を描いたものです。さまざまな風景について皆さんは目にすることができますね。その中で自分が印象に残る場所を見つけて、絵にしたものを風景画といいます。

川や山、海、木々などの自然、船や道、建物などの人がつくったものなどさまざまです。これらを組み合わせて書くことも可能です。

こうしたものは朝、昼、晩など一日のうちの時間帯でも表情を変えます。そして季節でも様子が変わります。

人などを点景で加えると絵に活き活きとした様子が伝わってきます。

(2)人物画
人物を中心に描いた絵を人物画といいます。同級生や先生、家族、友達などを描きます。どんなポーズをとるかについては、1128日のブログに書きました。その部分に詳しく書いていますのでそちらを見てください。この画面の左サイドの「ブログ アーカイブ11<人物画のポイントをつかもう」で入れます。

一人だけでなく何人かを組み合わせたものを群像といいます。その場合にはそれぞれの人のポーズから、まとまりのある画面にすることが大切になります。

人物のバックはモノトーンにする場合と、その人の生活や好みのものなどを入れる場合があり、それぞれの目的に応じて使い分けします。

(3)静物画
 花や、つぼ、果物、野菜、生活の道具など身の回りの中で面白い、興味を持ったものを描きます。形や色、質感など、それぞれのものがもつ特徴をとらえて描き分けます。それぞれの配置や数などをバランスを考えて配置します。それらのものの下にしわを与えた布や紙を敷いたり、そばに本や雑誌などを置く場合もあります。

(4)構想画
考えたことや空想などを描いたものを構想画といいます。絵になる主題を決めて、それについてイメージを膨らませて画面を組み立てます。

その想いや考えがうまく伝えられるように、資料を調べたり、写真を撮ったり、スケッチをしたりして、画面を作っていきます。

空想ですから制限はありませんが、効果的に伝えられる技法や構成、色彩など何度か下書きを繰り返して、まとめて行きます。ちょうど先日のブログ(128日 ポスターをつくろう)の手法とよく似ています。

それからこれらを組み合わせることも絵の楽しさです。風景画といっても見えたとおりに電線や看板などを描く必要はありませんし、気に入ったものがあれば画面に取り入れて構いません。

山の高さや位置なども自由に動かして構いません。自分が見た風景の面白さや感動が、絵を通じて伝わってくることこそが、絵の持つ楽しさであり表現の自由さです。人物画や構想画でも同じです。あまり形式とらわれ過ぎないようにします。


2015年12月9日水曜日

画材の説明 特に絵を描く材料

絵を描く際にはさまざまな材料があります。よく使うもの、あまりなじみがないものまでいろいろです。表現を充実させるためにいくつか知っておくとよい材料についてまとめました。

(1)鉛筆
普通の字を書く鉛筆よりもやわらかくて濃い色の出せるものを用います。代表的なものには黒えんぴつがあります。本来は9H~6Bまでありますが、よく使うのは2B~4Bです。Bにつく数字が大きいほど柔らかい芯になります。

(2)コンテ
デッサン用のクレヨンのことです。鉛筆よりも柔らかく、濃淡をしっかり出すことができます。もとはフランス語で、18世紀にフランス人のコンテが発明しました。デッサンやクロッキーによく使います。鉛筆のような形のものや芯だけのものがあります。

(3)木炭
木の枝などを蒸し焼きにしてできた炭です。石膏デッサンによく使います。真っ黒の状態から、塗り残すと白まで多段階の階調や立体感を出すことできます。パンの白い部分や練り消しゴムで消します。木炭で描いた部分を指でこする技法もあります。

(4)ペン
細書きのペンを使うことで独特の線画を描くことができます。または竹や木を削って尖らせて、証券用インクや万年筆用インクをつけて描くと独特の筆触を出すことができます。

(5)クレヨン・クレパス
クレヨンには顔料やろうを含みます。クレパスはクレヨンとパステルの中間ぐらいの柔らかさを持ちます。クレパスは日本でつくられたものです。

(6)パステル
パステルは顔料にアラビアゴムなどを固めたものです。西洋で古くから使われてきました。やわらかいので強弱を出しやすく様々な線や描法で描くことできます。線もソフトでパステル用紙との相性がよく、独特の鮮やかな色調となります。

(7)墨
油を燃やしたすすを集めて膠で固めたものです。水墨画ではさまざまな墨が使われます。すずりで水とともにすって使います。濃淡やぼかし、さまざまな描き味を出すことができます。

(8)透明水彩絵の具
顔料をアラビアゴム、グリセリンなどと混ぜてつくります。透明なため下地の紙の色で様々な効果が出ます。

(9)ポスターカラー
顔料にグリセリンを加えて作る不透明絵の具。水に溶いて使いますが、水の分量を少なくすると、むらなく塗ることができます。

10)不透明水彩絵の具
顔料にアラビアゴムを少量だけ加えて作るので(8)のようにはならないで不透明になります。

11)アクリル絵の具
顔料にアクリルの樹脂を混ぜてあります。最近の水性ペンキと同じような性質を持ちます。水に溶いて使え、乾くと水に耐えるようになります。不透明で重ね塗りをすると下の色を隠すことができます。

12)油絵の具
顔料にアマニ油を加えてつくります。乾燥に時間はかかりますが、発色が鮮やかで乾くと堅牢な面をつくります。固まる樹脂が入っていますのでほぼ塗ったときの状態のつやのある色を保つことができます。

13)色鉛筆
顔料に、ろう、粘土、ゴムなどを混ぜてつくります。普通は鉛筆の形になったものを用います。

14)日本画用絵の具
天然の石を砕いて粉にした絵の具に膠(にかわ)液を加えて指でといて使います。岩絵の具ともいいます。


2015年12月8日火曜日

ポスターを作ろう

多くの学校ではテストがない時期ですので、集中して作品に取り組めますね。

今日はポスターを作る手順について書きます。ポスターをつくるには次のような手順が基本になります。

ポスターにするテーマを選択
 学校の行事や、社会の問題、主張したいこと、PRすることなど。
テーマについて対話、調査、精査
 関係する画像(著作権に注意)を集めたり、写真を撮ったり(肖像権に注意)して資料を収集していく。アイデアを記録する。
考えたことを元にスケッチ
 考えを具体的にするためにスケッチをする。このときはまだ多めに思いついたことをあげていく。
キャッチコピー(文のアイデア)やキャッチフレーズ、レタリングデザイン原案
 効果的なコピーを考え、文字のレタリングの形状について考える。
スケッチと文字の配置をレイアウト
 考えたスケッチとキャッチコピーを効果的になるように配置してみる。
下描き
 考えのまとまったスケッチ(イラスト)とキャッチコピーを下描きする。
色を選択
 効果的な色や表現法を考える。
色をのせる。
 ポスターカラーで広い面積や背景になる部分から色をのせていき完成。

テーマに合ったイラストや、キャッチコピーを考えて、色や表現を視覚的な効果が最も大きくなるように考えて作品をつくってみましょう。印象に残り、訴えが伝わるようにするにはどのような表現がふさわしいか考えてみましょう。


2015年12月7日月曜日

レオナルド・ダ・ビンチの絵のお話

今日は「鑑賞」のお話です。

少し前の話ですが、フランスのルーブル美術館に行ってきました。もちろん美術を仕事と趣味にしているので、フランスに行ったら、こことオルセー美術館は必ず行こうと決めていました。今日はその旅の様子はさておき、レオナルド・ダ・ビンチについてのお話です。

彼が生まれた頃のイタリアでは古代のローマやギリシャの時代の文化を見直し、人間を見つめ直す動きが文化の主流となった時代、つまりルネサンス(文芸復興)の時代でした。

彼は、14歳の頃、フィレンチェで画房に弟子入りしています。そこで、すぐに頭角を現し師匠よりもうまく人物を描いた逸話が残っています。

すでに20歳の頃には、皆さんの資料集にも載っているような作品を描いています。「受胎告知」はすでに将来の彼の特徴が絵に現れているとされています。

彼はその後も名作の数々を製作します。なかでも自らの手元に長く置き、いつも加筆を加え続けた作品がモナ・リザです。

ルーブル美術館でもこの作品の周りには何重にも人垣ができていています。人がとぎれることがなかなかありません。人垣が切れたところでやっと自分が一番前でモナ・リザと対面できました。思ったよりも小さな絵です。

この作品は他のルーブルの絵とは違い特別扱いで厚い防弾ガラスに覆われています。他の作品もどれも有名な名画ばかりなのですが、どれも素っ気なくそのままでかけられています。

そういった中でモナ・リザはこの扱いです。この部屋は他の絵もかけられているのですがものものしい警備がされ、警備員が目を光らせています。

この絵の裏には、この絵を守るための部屋があり、常に絵の状態を専門家たちが監視できるようになっています。

様々な逸話が残っていますが、以前は警備はこんなに厳重ではなかったようで、あっさり盗まれたことがありました。散々探し回ったあげく、なんと片田舎のホテルの部屋のベッドの下から見つかったことがありました。

その絵が現在ルーブル美術館に飾ってある絵です。有名な絵ですから模写や贋作(がんさく、にせもの)が市中には数多くあります。なかにはルーブルのは偽物で、自分の絵が本物だと主張する収集家もいるぐらいです。


そういうこともあって、いまではフランスはこの絵を至宝として大切に維持管理しています。日本にもやってきたことがありました。これはフランスにとっても特別なことでした。日本の文化に敬意を払うフランスならではの好意でした。

ルーブル美術館には彼の絶筆になる絵「洗礼者ヨハネ」も鑑賞することができます。絵の人物は天上を指差しています。この絵を見ていると、ダ・ビンチ自身が「じゃあ、これから(天上に)行ってくる。」とでも言いたげなふうに私には見えました。

2015年12月4日金曜日

色を整理しよう

色にはいくつかの要素があります。それを整理しておきましょう。

(1)無彩色と有彩色
色みを持たない色のことを無彩色といいます。無彩色は明度の違いしか持たず、彩度や色相はもっていません。例えば、黒、灰色、白などが無彩色の仲間です。
色みを持つ色のことを有彩色といいます。例えば、赤、青、黄などが有彩色の仲間です。明度、彩度、色相の3つを合わせ持ちます。

(2)色相
赤、青紫のように有彩色の色みのことを色相といいます。色みの近いものを近くにして有彩色を丸く並べていったものを色相環といいます。色相環のなかで向かいの位置にある色同士のことを補色といいます。例えば12色相環の場合、赤の補色は青緑です。

(3)明度
色の明るさの度合いを明度といいます。最も明度の低い色は黒で、最も明度の高い色は白です。

(4)彩度
色のあざやかさのことを彩度といいます。それぞれの色相の中で最も彩度の高いものを純色といいます。純色に白が混ざると明清色、純色に黒が混ざると暗清色といいます。純色に灰色が混ざったものを濁色といいます。

絵の具は、シアン(緑みの青)、イエロー(黄)、マゼンタ(赤紫)の三色を、色料の三原色といいます。これらは混ぜ合わせると、必ず明度が低くなっていき、3色を混ぜると黒になります。これを減法混色といいます。

光は、ブルー(青)、グリーン(緑)、レッド(赤)の三色を、色光の三原色といいます。これらは混ぜ合わせると、必ず明度が高くなっていき、3色を混ぜると白になります。これを加法混色といいます。たとえば赤と緑の光を重ねると黄の光ができます。


2015年12月3日木曜日

水彩絵の具の使い方

スケッチをしたときは鉛筆やインクでスケッチをするまではうまくいくけれど、色塗りになるとなかなかうまくいかないという人は読んでみてください。

(1)透明描法と不透明描法
水彩絵の具は水で薄めて使います。通常は米粒大に絵の具を出したら、スポイドで水を5滴ほど加えてよく混ぜます。これを色塗りに使います。

この絵の具の濃さでしたら、重ねると、下の色が透けて見えます。色の重なりを楽しむことができます。こうした塗り方を透明描法といいます。

それに対して水の量を極力減らして、ごく少量の水に溶いて塗ると、下の色は透けて見えなくなります。この塗り方を不透明描法といいます。ポスターカラーやアクリル絵の具ですと確実にこの塗り方ができます。

(2)重ね塗り
どちらにしてもきれいに重ね塗りをしたい場合にはふつうは前に塗った色が乾いてから塗り重ねます。すると色が混じらないで、色の再度を落とさないで重ねることができます。

(3)水彩画の用具
水彩絵の具で色を塗るときにはパレットを使って色を出しておきます。色を混ぜるときは広い面を使って混ぜます。

混色した色を広い面で使いたい場合には、必要と思われる量よりも少し多めに作っておくと、途中でなくなって作り足すことをせずに済みます。作り足すとどうしても色を同じにすることがとても難しくなります。

筆は丸筆を使うと、さまざまな線を描くことができます。それに対して平筆の場合には日広く単一な面を塗るのに向いています。

水彩絵の具を使う際には必ず事前に筆洗にたっぷりの水を入れておきます。使うところを大きく分けられると色がにごりません。途中で色が水についてきたら面倒がらずに水を替えます。

(4)混色
基本的な混色を説明しましょう。絵の具では、赤色と黄色を混合するとオレンジ色、青と黄では緑、赤と青で紫、白と黒で灰色になります。しかし、どちらか一方の色を増やすと、増やしたほうの色に近い色相となります。

また絵の具の場合、混色すると必ず彩度が低くなってきます。したがって鮮やかな色を生かしたいのであればなるべく多くの色を混ぜることは避け、重ね塗りをするほうを選びます。


透明水彩の場合には上達してくればまだ乾かないうちに、別の色をそばに置いたり、水でにじませたりする技法を使うこともできます。このような技法ができるようになると表現の幅が格段に広がります。

2015年12月2日水曜日

鑑賞 書院造の美意識

日本の伝統建築でいまもなお使われている書院造について鑑賞の理解をすすめましょう。

.伝統的な日本の部屋のつくりについて以下の問いに答えよ
(1)次の文は日本の部屋のつくりの役割について書かれたものです。下の選択肢のア~エから適当なつくりの名称を選ぼう
 ア.部屋と部屋を区切る仕切りです。取り外してしまえば大きな部屋として使えます
 イ.絵や文様を配してあり部屋の雰囲気を引き立てます。広い部屋を区切って使うこと
   もできます
 ウ.部屋の中で格式の高い場所で掛け軸や工芸品を飾ることがあります。掛け軸は季節  
   ごと、行事ごとなどに掛け変えます
 エ.勉強机のような場所。外のあかり取りにもなり昔はここで書物を読んだり、文を書
   いたりした

   選択肢: 襖(ふすま)  床の間  付書院  屏風  

答え(1)ア)付書院 イ床の間 ウ)屏風 エ)(ふすま) (2)①エ ②ウ ③イ ④ア

問2.次の問いに答えなさい。
日本の伝統的な美術工芸品は、その多くが(①)の中で鑑賞され、使われるためにつくられてきました。

例えば、絵は紙のまま見るのではなく、(②)や掛軸に装丁して用いられました。そしてこれらは日本の独特の部屋のしつらえに合う形で生かされる(③)として生活の中で使われました。

そういった美術工芸品とともに、や風物などを組み合わせてしつえられた空間は、(④)表現するものであり、訪問する人への(⑤)の心(心遣い)表現してもいます。

一方、襖絵は部屋を使う用途によってその図柄や表現・技法などかなり違います。例えば、京都の江戸初期に作られた二条城を例にあげましょう。

城の中でも、将軍と諸大名が謁見する(⑥)は、金箔を貼った襖に大胆で豪壮な大きな松が(⑦)に描かれています。これは幕府の威厳を効果的に諸大名に知らしめる効果があったとされています。

これに対し、最も奥にあ将軍がゆったりとくつろぐ(⑧)は、(⑨)た風景が水墨画でおちついた筆致で描かれ、将軍とその家族たちの心をなぐさめるように描かれています

選択肢: 大広間 豪華 白書院 落ち着い 暮らし 屏風 道具 美意識 もてなし

答え ①暮らし ②屏風 ③道具 ④美意識 ⑤もてなし ⑥大広間 ⑦豪華 ⑧白書院 ⑨落ち着い