2016年12月23日金曜日

西洋の美術練習問題3

西洋の美術(18世紀から20世紀初頭)にかけての練習問題をさらにつくりました。

問1.次の文の( )に適当な語句を入れよう。( )内に選択肢がある場合には正しいほうを選んで答えよう。

近代の美術は18世紀のフランス革命以降から19世紀のイギリスの産業革命の頃に大きく変化していきました。(①市民 貴族)社会が成立してその社会が発展するにつれて美術も大幅に変化しました。

主にこの時代には美術は、新古典主義、( ② )主義、写実主義の3つにわけることができます。そして今の日本でも愛好する人の多い19世紀末の( ③ )主義へとつながっていきます。そして象徴主義や後期印象主義へと変化していきます。

( ④ )主義
18世紀の後半、フランスを中心に古代への回帰がみられました。とくに古代ギリシャやローマの美術の形式美や写実を重視する風潮がみられました。( ⑤ )の描いた「オダリスク」などがその代表です。

ロマン主義
18世紀末から19世紀にかけて、異国情緒や神秘的なものがヨーロッパを中心に好まれるようになり広まりました。主の画家には「民衆を率いる自由の女神」を描いた( ⑥ )などがいます。

写実主義
実際の世界をありのままに描くことを重視する絵画です。( ⑦ )はその代表的な画家です。「波」などの作品があります。

バルビゾン派
パリの近郊の( ⑧ )村で活動した画家集団です。(⑨牧師 農民)の生活などをありのままに描きました。( ⑩ )の描いた「落穂拾い」が有名です。

印象派
屋外の明るい光を主眼に、周囲の情景を表現しました。( ⑪ )の「睡蓮」や「印象・日の出」、( ⑫ )の描いた「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」などがその作品です。

後期印象派
印象派の画風をさらに個性的に発展させました。( ⑬ )の描いた「ひまわり」、( ⑭ )の描いた「サント・ヴィクトワール山」、ゴーギャン「タヒチの女」などです。

印象派や後期印象派の画家たちに、日本の浮世絵は多大な影響を与えました。これを( ⑮ )といいます。



答え ①市民 ②ロマン ③印象 ④新古典 ⑤アングル ⑥ドラクロワ ⑦クールベ ⑧バルビゾン ⑨農民 ⑩ミレー ⑪モネ ⑫ルノワール ⑬ゴッホ ⑭セザンヌ ⑮ジャポニズム

2016年12月4日日曜日

20世紀の美術練習問題2

20世紀の美術に関して練習問題をさらに作りました。

1.次の文の( )に適当な語句を入れよう。( )内に選択肢のある場合には正しいほうを選んで入れよう。

ゴッホやゴーギャンなどの時代を経て時代は20世紀の美術の世界となります。19世紀の末から(①アールヌーヴォー ロココ)の時代になります。印象派のあとは色や形はより自由に広がりを示すようになってきます。

絵の世界は画家の心の中に思い描いたものを表現する要素が中心となってきます。自分が感じたものを絵として表現するために、自由に形を変えたり、自然とは違う色を示したりもするようなります。こうした動きが世界に広がります。これこそアール・ヌーヴォーとの芸術運動です。花や植物・動物などの形などをモチーフにしたデザインや装飾などが好まれました。

それとはべつに、新しい動きとして美術の常識を打ち破る動きが起こりました。アンリ・マチスの( ② )(野獣派)やジョルジュ・ブラックやピカソなどの( ③ )もそういった流れの中の美術です。

そして③はもはや自然の形状を示すことから離れて、(④抽象 具象)芸術、そしてシュールレアリズムへとつながっていきます。

さらに現状の芸術の枠を打ち壊すという意味合いのある(⑤新古典主義 ダダイズム)などが起こります。

戦後の芸術は作家の意図や考え方などが重要とされるようになりました。芸術の価値観が変わりました。作家の込めたものを感じ取ったり、興味深い形をおもしろがったりする芸術がはじまりました。

ジャクソン・ポロックは、絵の具をたらして描いて偶然に生まれる面白さをキャンバスに表現しました。これを( ⑥ )といいます。

それからマルセル・デュシャンはただ便器を置いただけの「泉」という作品で人々を驚かせ、注目を集めました。

またアンディー・ウォーホルはスープ缶をいくつも画面に並べた作品を作りました。誰もが知っている既製品に表現を加えることで社会の一面を表そうと試みました。これを( ⑦ )といいます。


答え ①アールヌーヴォー ②フォービズム ③キュビズム ④抽象 ⑤ダダイズム ⑥アクションペインティング ⑦ポップ・アート

2016年11月27日日曜日

色の効果の練習問題

色の効果について練習問題を作りました。

1.次の文の( )に適当な語句を入れよう。( )内に選択肢があるときには正しいほうを選ぼう。

美術では色の学習をします。色使いはさまざま使っているうちに効果的な表現を身につけられるものです。その一方で原理を知っていると描く際に役に立つことがあります。

色を組み合わせると様々な効果が現われます。絵を描く際やポスターのデザイン、イラストを描く際にこうした配色に工夫を試みてみると、効果的に表現することができます。

それぞれの色の組み合わせで感じ方が異なります。重い感じや( ① )い感じがする色、涼しい感じ(( ② )色)や暖かい感じ(( ③ )色)がする色の組み合わせなどです。

例えば扇風機とこたつの宣伝をそれぞれする際に、どういった広告の色あいにするといいか想像がつきませんか。

それから弱い配色と、( ④ )い感じがする配色があります。彩度が( ⑤ )いと強い、(⑥コントラスト 高低)の大きい表現をすることができます。

そして後退色と( ⑦ )色。これも色の組み合わせ次第でどちらに色が進んでいくか決めることができますね。

答え ①軽 ②寒 ③暖 ④強 ⑤高 ⑥コントラスト ⑦進出
















2016年10月14日金曜日

金属で作る

金属を材料にして工芸品をつくることができます。

金属には、伸びる延性、うすい板状にできる展性などの性質があります。打ち出しの手法は、これらの性質を利用したものです。

金属の材料にはアルミニウムや銅などがよく用いられます。これらは柔らかいために加工がしやすいです。

金属をたたく手法は鍛金ともいわれます。上の打ち出しの手法はその一つです。

金属を溶かして、前もって作っておいた型に流し込んで作る手法を、鋳金(ちゅうきん)といいます。

さらに、金属の板などに彫刻をする手法を彫金といいます。彫ったところに金や白金などを詰めて美しくする手法を、象嵌(ぞうがん)といいます。

日本には、こうした手法による伝統工芸の技術が各地に伝わっています。
金属を細工する道具には、金切りばさみ、金属用ののこ、直刃(すぐば)や柳刃(やなぎば)、えぐり刃などがあり、それぞれ異なる用途に用います。

直刃は直線部分を切るのに用い、柳刃は、曲線を切るのに使います。えぐり刃は小さく曲線を切るのに有用です。



2016年9月29日木曜日

工芸品をつくる

日常の生活に必要な使いやすさや美しさを兼ね備えた道具を工芸品といいます。

工芸品を作る際には材料を選ぶ必要があります。材料には、木、紙、金属、土、ガラスなどがあります。

こうした材料の中から目的の品に適した材質のものを選びます。

例えば曲げたり編んだりするには、糸、ひも、竹、籐(とう)などが線材として使えます。

曲げたり、折ったり、切ったりする細工を行うには、金属の板や紙などが面材として適合します。

削ったり、組み合わせたりするには、土や石などの塊材がうってつけです。

それではそれぞれの材料ごとの特性について説明します。

木は、手になじみ、温かみがあります。様々な加工がほかの材料と比較して容易です。ただし、木目があるので細工する際に注意が必要になります。

金属は、冷たく硬いです。しかし丈夫です。展性や延性といった性質を持ち、たたいたり伸ばしたりする細工に向きます。ほかの材料と比較すると加工しにくいです。

紙は、やわらかです。曲げる、折る、編むなどさまざまな加工が容易です。ただし水にぬれると変形したり、燃えやすかったりするなどの性質があります。

土は、かたちを作ることが容易です。いったんかたちをつくり、乾燥させるとその形を維持します。高い温度を加えると、とても丈夫で変形しなくなります。


ガラスは、かたいですが、高い温度で溶かすことができ、その状態ならばさまざまな形状に加工できます。そして冷えるとその形を維持できます。落としたりたたいたりするともろい欠点があります。光を通すことができます。
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中間・期末テスト ズバリよくでる 技能教科 全教科書版 美術

2016年9月21日水曜日

漫画家になりたい

漫画家やイラストレーター、デザイナーになりたいと思う人がけっこういるようです。そういう人はぜひ読んでみてください。


わたしは、絵の教室も運営しています。そのため、上で書いたような職業につきたいという児童や生徒も絵を教わりに来ます。


そこでよく話をするのが、どれだけ絵を描くかということです。やはり、上で上げたような職業に就こうと思うとなると、たくさんの絵を描く経験とともにそれを時間を忘れて没頭するようなところが自分にあるかということです。


しかも絵やデザイン、漫画に関してはもちろんですが、その周辺の情報や学習に関しても、自分からすすんで行うことがまずは必要ではないかと考えます。


何かひとつのことを極めようと思ったら、寝食を忘れて(あまりおすすめしませんが)それに没頭することはごく普通のことですし、そのレベルの人たちは、きびしいようですが、星の数ほどいます。


そのなかでプロになること、つまりそれを生業として報酬を得るほどになれるかは、やはり、そのセンスをいかに磨いてきたかにあると考えます。


それにいかに時間を費やして、自分の糧にしてきたかということです。自分の個性を表現すること(これは昨日ブログに書きました)はこれからどのような職業でもまちがいなくプラスに作用するでしょう。


とくにこのようなクリエーターの仕事につきたい人は、次々とアイデアが浮かんでくるようでないと困ります。


すこし厳しい書き方をしたかもしれませんが、プロをめざすとはこういうことですし、実際には運もめぐってこなければ努力だけでカバーできるものでもないようです。しかし、努力なしでは運も巡ってはきません。それだけはたしかなことです。


えらそうなことを書きましたが、私自身美術をプロとして選択しなかったのは、そのあふれ出るような才能にはどうも自分は恵まれていないようだと言うことと、むしろ自分は後進を教育して美術の裾野を広めるほうの役回りが合っていると気付いたからです。

上に書いてきたようなことであっさりあきらめてしまうのであれば、その気持ちはそれほど強くはないということかもしれません。べつのよりあなたにふさわしい分野があるでしょう。逆にこんなことぐらい、と気にもしないぐらいの気概がある人がプロで活躍できる人でしょう。

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このブログの人気記事

多くの学校では試験が終わり、一息ついている時期でしょうから、ここで今回の試験のまとめをブログのアクセスの状況からみてみましょう。

このブログでもっとも人気の高かった記事を3つ挙げます。

1.構成美の要素
2.モダンテクニック
3.遠近法

この3つはいつも上位です。今回もそうでした。構成美の要素は、まとめと問題ともベスト3に含まれます。この単元だけで全体のアクセスのうち、16%余りを占めるほどです。

皆さんが、「構成美の要素」で悩んだり、わかりにくいと感じていることがよくわかります。

それにつづいてモダンテクニック。いずれもカタカナの用語(スパッタリングなど)が続きます。理解しにくい単元です。実際に実技で行ってみるとそれぞれの技法自体は、易しいものだとわかるのですが。

それに続いて遠近法です。遠近法で絵を描くことがなかなかできないのは中学生の悩むところかもしれません。中1では、技術家庭科やまもなく数学でも立体図形を学びますが、その中で作図も出てきます。

立体を正確にイメージできるようになっておくことは、美術だけでなくさまざまな教科で役立ちます。


それにしても多くの皆さんにアクセスいただいて、作っている私も感謝しています。ありがとうございます。これからもご利用ください。

2016年9月14日水曜日

竹を使った工作

竹は身近で使いようによってはさまざまなかたちに加工することができます。そして丈夫できれいな形状を作ることができます。

たけひご、たてに割って垣根に利用したり、さらに細かく割っていくと竹紐やひごになり、かご、笠等の入れ物や実用品などにもできます。

またほそい笹や細い竹などはそのままで筆の絵や竹ペンなどとしても利用できます。美術の世界でも竹はさまざま利用できる可能性があります。

そこで基本的な竹の加工の仕方を紹介します。


竹の切り方
竹を竹びきのこぎりなどで竹林から切ってきてしばらく軒下などにおいて乾燥させます。1~2年ほど置いて色が薄茶色になった竹は軽く弾力があり加工しやすくなっています。

この竹を加工しやすい長さにのこぎりやなたで切ります。丸い竹は手前側にまわしながら切っていくと切りやすいです。


竹の割り方
そしてさらに竹の繊維にそって縦割りします。その際には刃の厚いなたで割ります。太い丸い竹は末(こずえ)のほうから割ると簡単に割ることができます。それに対し、細い竹は根元のもとのほうから割ります。いったん割った竹をさらに割るときには、皮の外側のほうから切るとうまく切ることができます。ふつうは二等分しながら割っていきます。

使い道に応じて、竹を縦に細かく割っていきます。たけひもやたけひごはその厚さや直径に応じた穴にとおすことで均一なものを得ることができます。

竹の削り方
竹を削るときには押して削る場合と、引いて削る方法があります。押して削るのは竹とんぼなど細かく短いたけをけずるときに使います。鉛筆を小刀やカッターナイフで削るのと同じ方法です。

引いて削る場合には、長い竹を削るときなどに使います。台の上に布などを敷きその上に竹を置きます。その上に小刀をあてて腕を布上で固定し、竹を挟んで小刀が動かないようにしながら、竹を手前に引いて削っていきます。

小刀の角度を変えて削ることで一度にたくさん削ることもできますし、うすく削ることもできます。

竹の曲げ方
竹を曲げるときは火であぶると簡単に曲げることができます。ふつうは曲げる部分の外側を(皮のほう)をあぶり、手前に両腕を近づけるようにして曲げていきます。目的の曲げ具合になったら水につけるとそのまま曲がったままの状態を維持できます。

厚みのある竹を曲げるときは、内側を少し削ってから曲げるとうまくいきます。



中学 実技4科 得点UP問題集: 内申書で差がつく (中学得点UP問題集)

竹の工作の練習問題

竹の工作に必要な技法についての練習問題を作りました。

1.次の文の( )に適当な語句を入れよう。なお、( )内に選択肢がある場合には正しいほうを選ぼう。

竹は身近で使いようによってはさまざまなかたちに加工することができます。そして(①丈夫 精密)できれいな形状を作ることができます。

竹は、切って垣根に利用したり、さらに細かく割っていくと竹紐や( ② )になり、かご、笠等の入れ物や実用品などにもできます。

また細い笹や竹などはそのままで絵を描く際の( ③ )の柄や竹ペンなどとしても利用できます。美術の世界でも竹はさまざま利用できる可能性があります。

答え ①丈夫 ②竹ひご ③筆


2.つぎの竹の加工法に関する文の( )に適語を入れよう。なお、( )内に選択肢がある場合には正しいほうを選ぼう。

竹を竹びきのこぎりなどで竹林から切ってきてしばらく軒下などにおいて( ① )させます。1~2年ほど置いて色が薄茶色になった竹は軽く弾力があり加工しやすくなっています。

この竹を加工しやすい長さにのこぎりや( ② )で切ります。丸い竹は(③手前 奥)側にまわしながら切っていくと切りやすいです。


竹の割り方
そしてさらに竹の繊維にそって(④縦 横)割りします。その際には刃の厚いなたで割ります。太い丸い竹は(⑤末 根元)のほうから割ると簡単に割ることができます。それに対し、細い竹は(⑥根元 末)のほうから割ります。いったん割った竹をさらに割るときには、皮の外側のほうから切るとうまく切ることができます。ふつうは二等分しながら割っていきます。

使い道に応じて、竹を縦に細かく割っていきます。たけひもやたけひごはその厚さや直径に応じて引いて削ったり、穴にとおしたりすることで均一なものを得ることができます。

竹の削り方
竹を削るときには押して削る場合と、引いて削る方法があります。(⑦押して 引いて)削るのは竹とんぼなど細かく短いたけをけずるときに使います。鉛筆を小刀やカッターナイフで削るのと同じ方法です。

それに対して、(⑧押して 引いて)削る場合には、長い竹を削るときなどに使います。台の上に布などを敷きその上に竹を置きます。その上に小刀をあてて腕を布上で固定し、竹を挟んで小刀が動かないようにしながら、竹を手前に引いて削っていきます。

小刀の(⑨大きさ 角度)を変えて削ることで一度にたくさん削ることもできますし、うすく削ることもできます。

竹の曲げ方
竹を曲げるときは火であぶると簡単に曲げることができます。ふつうは曲げる部分の(⑩外 内)側を(皮のほう)をあぶり、手前に両腕を近づけるようにして曲げていきます。目的の曲げ具合になったら水につけるとそのまま曲がったままの状態を維持できます。

厚みのある竹を曲げるときは、内側を少し削ってから曲げるとうまくいきます。


答え ①乾燥 ②なた ③手前 ④縦 ⑤末 ⑥根元 ⑦押して ⑧引いて ⑨角度 ⑩外
中学 実技4科 得点UP問題集: 内申書で差がつく (中学得点UP問題集)

2016年9月8日木曜日

金属の工芸品

前回で200記事に到達しました。皆さまいつも利用してくださってありがとうございます。

金属を材料にした工芸品についての練習問題です。

1.次の問いに答えよう。
(1)金属が伸びる性質を何といいますか。

(2)金属の工芸品の材料としてよく使う金属をあげよう。

(3)(2)の金属を使う理由をあげよう。

(4)金属をたたく手法は次のうち何といいますか。記号で選ぼう。
 ①彫金 ②鍛金 ③鋳金

(5)(4)の①~③の選択肢の手法のうち、金属を溶かして、前もって作っておいた型に流し込んで作る手法を何といいますか。記号で選ぼう。

答え (1)延性 (2)アルミニウム(あるいは銅) (3)やわらかかくて加工しやすいから (4)② (5)③



中学 実技4科 得点UP問題集: 内申書で差がつく (中学得点UP問題集)

2016年7月31日日曜日

空想の世界の画家たち

頭の中で考えた世界を実際に紙に描いて表現することは楽しいことです。昔からそうした絵を描く画家がいました。

エドヴァルト・ムンクはノルウェーの画家です。ムンクの「叫び」は一度見ると忘れられない絵です。さまざまなグッズにもなっていますね。この絵に登場する人物は何を叫んでいるのでしょうか。

まさに緊迫した状況を絵の色彩やうねりが表しています。不安な気持ちが湧いてきます。

一転して、ベルギーのルネ・マグリット。彼はとてもリアルな絵を描きました。リアルなのですが、物と物の関係や、位置、状況が不条理な世界を描いて、その絵を見る人を不思議な世界へといざないます。こうした表現をシュルレアリズム(超現実主義)といいます。このほかにもイタリアのジョルジョ・デ・キリコなどがいます。

心の奥を表現するこうした絵はさまざまな形で描かれています。マルク・シャガールもそうした画家の一人です。美しい青や赤、黄などの豊かでやさしい色彩のなかに自由に人物や動物が配された絵を描きました。その独特なファンタジーのような世界観は今もって人気があります。アンリー・ルソーも不思議な世界を描きました。「ヘビ使いの女」などはそうした代表作のひとつです。

2016年7月15日金曜日

200記事達成

このブログの記事が200記事を超えました。この記事で202記事目です。美術の内容で200個書けるかなと最初は思いながら始めたブログでした。

このブログを見てくださっている方々に、さまざまな年齢や立場の方がいることが想像できます。

そういった方々の期待を裏切らないように、まとめや問題作りをこれからもしていこうと思いました。

最近は、ここ23か月の記事の問題を繰り返し、更新の筆を入れながら掲載しています。この方が中学生の皆さんがまんべんなく様々な単元や内容をPCやスマホを開くだけで接することができると考えたからです。

一般の方々がご利用なさる上では、何で同じ内容の記事を繰り返し載せるのだろうとお思いの方もいらっしゃることでしょう。

上のような理由から始めた次第です。「小さな塾」の生徒たちも利用しています。

生徒たちにも聞きながらもっとこうした方がいいとか、もっと図をのせてほしいとか要望があります。


限られた時間の中でやりくりするのは限界もありますが、なるべく充実させていこうと思います。むしろこれまでの記事にこれからは図を加えたり、加筆したりするほうがよりわかりやすくできるかもしれません。

2016年7月5日火曜日

たなばた飾り

今日久々に街に出ました。私の住む場所は、町はずれの中山間地で、一番近くのスーパーまで4㎞あります。それでも集落には大手コンビニ3社の店がそろっている不思議なところです。

さて、出かけた街は10㎞ほど離れたところで、最近えきがリニューアルされ、見違えるようになりました。暑い日差しの中、歩いていると、うしろにささをのせている軽トラックを見かけました。

笹なんかどうするんだろうと、思いました。あっ、そうか七夕かとやっと気づきました。あさっては七夕でした。

七夕と言えば七夕飾り。私の出た小学校は毎年、教室を出た廊下に、七夕飾りをずら~と並べて壮観でした。そして風情がありました。季節も感じました。

このように日本には季節を感じる飾り付けがいくつかあります。外国のものまで取り入れて、今ではクリスマスやハロウィンまで取り入れられ、季節を感じるアイテム、デコレーションとして定着しています。

ここ数年、私の住む地域では77日には雨にたたられています。このところ晴れが続いていますから、今年あたり、織姫と牽牛は出会えないでしょうか。



2016年5月10日火曜日

風景画を描く自由

風景画を描くときに、描きにくいと感じたことはありませんか。そんなときにはこのようにやっても構いません。


風景画は見たとおりに描く必要はありません。形や陰影を正確に描く練習はデッサンで行えばよいことで、風景画ではそれはあてはまらないこともあります。


風景画を描くときは、そのデッサンのときの正確さはある程度省いて構いません。


つまり、風景の中に電線が見えていたとします。見取り枠の中の風景をどう切り取っても電線が入ってしまうというときがあります。それを忠実に描く必要は全くありません。


自分が気に入って、構図もよければ電線を描かないでいいし、屋根がわらの枚数が合ってなくてもいいです。見たままの色でなくて、自分が感じるまま、ぬりたい色をぬればいいです。そして輪郭線に忠実描く必要もありません。


基本的に絵を描くときは自由です。やっていけないことはほとんどありません(ただしテーマやねらいがある場合は別です)。風景画もそうです。自分の表現でいいです。


さらに省略したり、場所を変えて構図をよりよくしてもいいです。風景とは自分が得た感動を、絵の表現によってより味わいやすくする働きがあります。


したがって見たままでは、感動をそがれたり、興味が薄れたりするものは省いて構いません。


また、木々や植物の生長の勢いなど自然の素晴らしさ、荒々しさなどに気付いたら、その勢いを自分の描く線や色に表してみましょう。


感じたままを表現できることはすばらしいことです。それを表現できたとしたら、あなたは絵の才能にあふれていることになります。


風景のすばらしさや、形や構図の面白さが絵を見る人に伝わり、感動をともに味わえるように描けるととても楽しいです。すばらしい絵とはそういうものと考えます。







2016年5月9日月曜日

漫画家になりたい2

「漫画家になりたい」は反響がありました。そこでさらに書いてみました。わたしはマンガの関係者でも何でもありません。

そのことだけは断っておきますし、そのつもりでお読みください。そしてこれは漫画家だけでなく画家などの芸術家についても同じことがいえると思います。


最近の漫画家は、絵を描く人とマンガの筋書きというか、内容というかそういう分業になっている場合もあります。


しかし、当面は自分で内容もあれこれ練って、絵も描いていくことでしょう。キャラクターもごく平凡なものでは、この漫画どこかでみたような・・・ということになってしまいます。


それに漫画を描く技術は、やはり描き続けることで上達します。プロの作家でもコミックの最初のほうと後半のほうでは絵が違う人も多いです(これはアシスタントなどの助力もあるかもしれませんが)。


したがって、マンガについて基礎を学ぶことはとても大切です。さまざまな技術的なことも必要になります。


それからこちらも大切なことですが、世の中のしくみや社会のことに興味をもち、関心を高めておくことも大事です。


なぜなら、今の人々が何を求めてどんなことに感動し、何を面白がっているかを知ることは、マンガを作る上でとても大切だと思います。


それが直接自分が書く漫画に役立つことはそんなに多くないかもしれません。しかし、どんなことでも広いアンテナを張り巡らし、さまざまなことに興味を持つことは大事です。


ものごとを面白がる性質は、漫画家が備える最も大切な特質ではないでしょうか。つまり何を面白がるかをよく知っているということです。これはセンスかもしれませんし、才能かもしれません、独特の嗅覚を通じて養われることかもしれません。


したがってここでは何もその特質についてとやかくは言いません。でも、少なくとも絵を描くこと(背景も含めて)にあくなき探究心を燃やし続けることができるか(一生かもしれませんし、仕事にするならば生活がかかっていることもお忘れなく)を、よく自覚した上でやり続けことになります。


本当にマンガで収入を得ている人は、細い細い三角形の頂点の、そのまた上の見えなくなった先ほどでしかありません。そしてマンガだけで生活ができている人はそのまた上の三角形の頂点の先でしかありません。


プロとなるために、そこまでの情熱をもちつづけることができるか、それとも趣味として他の仕事のかたわら、漫画を描くことを楽しみとするかのいずれかです。









2016年5月6日金曜日

読まれている記事

このブログにはすでに130あまりの記事があります。このなかでもっとも読まれているのは、構成美の要素やモダンテクニックに関する説明や練習問題です。


もちろん、これらの記事は美術のもっともよく利用される手法に関する分野ですから、当然といえば当然かもしれません。


私が具体例に示した図が適切かどうかはわかりませんが、具体的になるべくわかりやすくしようと言う意図があることはご理解ください。


それから、鑑賞については著作権の問題を避けるわけにはいきません。著作権を違反してまで、ブログに載せようとは思いません。


これらの記事の説明で掲載している画家の作品などは、ご面倒かもしれませんが教科書や資料集、画集などで確認しながら学習をお願いいたします。


あとは「構図」に関する記事がよく読まれています。皆さん絵の構図に苦労されている様子が目に浮かびます。


絵をたくさん描いていくうちに、だんだん構図に関しては身についていく機会が出てきます。アドバイスをもらえる方が身近にいる場合には絵を見てもらって意見をもらいましょう。





2016年4月28日木曜日

自分の主張

美術では自分の表現したいことを主張することが求められます。逆に言うと、うまいへたはあまり重要でないと極論することもできるでしょう。


したがって、自分が思う主張したいことを、思うとおりに表現できるか、このことが重要といえます。したがって、つたない表現であっても人の心を打つ表現はできると考えます。ただし、何を主張しているのかわからないのではなかなか人にそれを伝えることはできません。


それで、中学校ではその人に何か自分の言いたいこと、したいこと、興味を持ったことを伝えることを学びます。美術はこのように自己表現法の一部といえます。


必ず将来どの分野に進んでも美術を学んだことはプラスになることは間違いありません。おろそかにしているのはじつにもったいないことです。


あとでああ、もう少し、美術のことを知っておけばよかった、身につけておけばよかったと思うことがあると考えます。実技教科にはそう思える要素がじつにたくさんありますから。


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2016年4月5日火曜日

美術へようこそ

1、高1の皆さん進学おめでとうございます。

小学校、中学校で図画工作(美術)をやってきてその楽しさに気づく人もいるでしょう。他の授業と違って、製作に集中していると時間を忘れてしまうときもあります。

自分の表現するままに製作できるのですから、これほど自由な教科はないことになります。したがって、美術の様々な技法の基本を学んで自分のものにした上で、感性にしたがって自分の表現したいように表現できるようになるとさらに楽しさが増します。

この点は音楽でも味わうことができますが、美術はさらにその幅や表現法が多岐にわたります。

これから美術の技法や表現、過去から現代の芸術について学んでいきましょう。美術を好きになれれば、試験を受けたり勉強したりすることも苦痛には感じなくなるでしょう。


人によっては中学や高校だけでなく、これからの長い人生で美術を趣味にできることもできます。

2016年2月13日土曜日

イラストを色鉛筆で描く

手っ取り早く、お金も手間もかけずにイラストを書いてみたいという方には色鉛筆画がおすすめです。
スイセン

私も最初は色鉛筆かぁと、少しマイナスイメージに近いものを持っていましたが、描いてみると結構奥が深いことがわかってきました。

もちろんデッサンやクロッキーの基本を行いつつ行ったほうが、自分の思うように描けるようになるのには近道でしょう。しかし、自分の想いを自由に描くのであれば、多少の絵のゆがみや矛盾をあまり気にしないで、好きなだけ時間をかけて描くことができます。

色鉛筆画のコツは、最初はうすい鉛筆で下書きをするといいですが、その後は気に入った色でその下書きをなぞるように、あるいは、色の面を作っていくように、極めて薄い色を塗り重ねていくことです。

以下のようにさまざまな色の色鉛筆について、ぼかしたり、重ねたりの練習をしてみるとどのくらいの調子で置いていくとよいかつかめるようです。


いきなり濃い色を置くことはかえって元に戻しにくいこと(ある程度消しゴムで消せますがなるべく使わないで描きます)になりがちです。したがって、薄過ぎるかなあというぐらいがベストです。そして気に入った色あいや組み合わせ、雰囲気が出つつあるようなら、次第に濃い色を重ねていきます。

色の濃淡もそうですが、明暗についてもそうです。いきなり暗い色では、調子の段階をとりにくくなりがちです。明るい色からだんだん暗い色に(しかも最初は薄めに)していくとうまくいくようです。

こうして描いた一例です。



2016年2月11日木曜日

日本の美術(後半)の練習問題

室町時代以降の美術についての練習問題です。試験などで利用してください。

問1.次の文は室町時代から安土桃山時代の日本の美術に関する文です。( )に適語を入れよう。

室町時代の美術には、当時日本に伝わってきた( ① )宗の影響があります。( ② )の描いた( ③ )画は中国に学び、独自の境地にまで至った画風です。中でも秋冬山水図が有名です。

建築では足利義満が建てた( ④ )文化の鹿苑寺( ⑤ )があげられます。足利( ⑥ )の建てた慈照寺( ⑦ )は東山文化を代表する( ⑧ )造の建築です。①宗様の様式も有します。こうした様式は今の日本の和風建築にも連綿と受け継がれています。

桃山時代には、武家と豪商の絢爛豪華な様式がもてはやされました。絵画は( ⑨ )画が描かれました。( ⑩ )の描いた松林図屏風は屏風絵として描かれました。建築では天守閣をもつ城郭建築が発達しました。姫路城は城の全域が残る最大のものです。

答え ①禅 ②雪舟 ③水墨 ④北山 ⑤金閣 ⑥義政 ⑦銀閣 ⑧書院 ⑨障壁 ⑩長谷川等伯

問2.次の文は江戸時代から明治時代の日本の美術に関する文です。( )に適語を入れよう。

江戸時代には、
(1)( ① )文化…大阪の商人や町人を中心にした上方文化
(2)( ② )文化…江戸の町人を中心にしたしゃれやこっけいを楽しむ文化
に時期によって分けられます。

元禄期に菱川師宣をはじめとして( ③ )絵が描かれるようになり、化政期になるとこの③絵は、版画として多く刷れるようになり庶民に広がります。喜多川歌麿(( ④ )画)、東洲斎( ⑤ )(役者絵)、安藤広重、葛飾( ⑥ )(富嶽三十六景)など、のちの西洋の印象派以降の画家たちにも大きな影響を与える作品を残しました。

絵画では狩野派の狩野( ⑦ )(御用絵師)、俵屋宗達の( ⑧ )図屏風、尾形( ⑨ )が知られます。円山( ⑩ )(円山四条派)、与謝蕪村(文人画)、建築では桂離宮や二条城が有名です。

明治期以降の美術
西洋美術が流入し油絵の技法が広まります。そして日本の美術が( ⑪ )や岡倉天心などによって見直され復興します。

横山( ⑫ )、橋本雅邦、狩野( ⑬ )などの日本画家や、高橋由一、黒田( ⑭ )、岸田劉生などの洋画家が活躍しました。彫刻では高村( ⑮ )などが知られています。

答え ①元禄 ②化政 ③浮世 ④美人 ⑤写楽 ⑥北斎 ⑦探幽 ⑧風神雷神 ⑨光琳 ⑩応挙 ⑪フェノロサ ⑫大観 ⑬芳崖 ⑭清輝 ⑮光雲


2016年2月9日火曜日

原始・古代美術に関する練習問題

原始・古代の美術についてひと通り学習できたら、次の問題で確かめをしてみるといいです。


1.次の文の( )に適当な語句を入れよう。
原始時代の旧石器時代に、狩猟の様子あるいは豊猟を願った絵として、各地に洞窟画が残っています。なかでもフランスの( ① )の洞窟には力強い表現で動物などが躍動的に描かれています。そしてスペインの( ② )の洞窟にも活き活きとした動物の姿が描き出されています。

新石器時代になると農耕や牧畜が始まります。すると巨大な巨石建造物が作られました。イギリスの( ③ )はそうした遺跡のひとつです。

ちょうどその頃の日本では、人々は採集や狩猟の生活をしていました(縄文時代)。この時代に作られた( ④ )土器の中には、伸びやかで躍動感に満ちたものがあります。また土を焼いて作り祈りの意味もあるとされている( ⑤ )は優れた装飾性を備え、日本の美術の源流といえます。

大阪万国博覧会の会場の「太陽の塔」を作成したことで知られる岡本太郎は、この④土器の力強い表現に圧倒され、のちの作品の着想を得たといわれています。今も現代人の心を打つ力をこの時代の文化は有しています。

自然に恐れを持ち、その一方でそれに対抗しようとしたり、恭順したりして生きてきた古代の人々の生きることへの( ⑥ )を表しているのではないでしょうか。

答え ①ラスコー ②アルタミラ ③ストーンヘンジ ④縄文 ⑤土偶 ⑥願い 

2.次の西洋の古い文明の美術に関する文の( )に適当な語句を入れよう。

農耕や牧畜が始まると作物の豊作を願う宗教的な側面が文化に表れてきます。古代( ① )の美術は、たくさんの絵や文字が残されています。当時の生活や文化の様子が活き活きと絵から伝わってきます。絵としては独特で形式的な表現です。

古代( ② )では、人間の美の理想を追い求めました。それは人間を表す上でも反映されました。「ミロの( ③ )」などはそれを象徴するものです。

古代( ④ )の美術では、②の美術の影響を色濃く受けています。政治家や皇帝の大理石の像が作られ飾られました。のちの中世期において文芸復興といわれ、古代のこうした文明の人間尊重の文化を模範とした( ⑤ )の時代の文化に強い影響を与えました。

答え ①エジプト ②ギリシャ ③ヴィーナス ④ローマ ⑤ルネサンス 


2016年2月7日日曜日

人物画のポイント クロッキー

以前に人物画については簡単に触れました。さらにその第2回です。人物は一番身近でありながら、なかなか対象として描こうとすると、静物画と違って難しい面があります。

クロッキーはおすすめ

何しろ相手は生きた人間ですから感情もあればそのときどきで表情も変わります。そして同じ姿勢を長時間とることは非常に困難です。


こんなこともあって人物を絵の対象にするのはなかなか取り組みが容易でないと、二の足を踏んでいる人もいるでしょう。

そんなときはクロッキーがおすすめです。むしろ描く時間を短くしてしまいます。場合によっては2,3分でもよいです。そのほうがポーズをとってくれている人も楽ですし、描くほうも気兼ねもそれほど要りません。

もちろん、ポーズをとってくれている人への心遣いは最も必要なことです。それにも増して時間が限られていますから、ポイントをつかんでいないとあっという間に時間が来ます。したがってそれだけ、ポイントを捉える力が養われます。

クロッキーのポイント


人物を捉えるのに必要な要素については前回で触れました。全身を骨格あるいは立体物の組み合わせで捉える考え方です。それから各部分の長さの比を的確に捉えることです。それさえ守れば、いっさい消しゴムなど使わないで、その人のもつ雰囲気を捉えることができるようになってきます。

もちろん短時間ですから、顔の目や鼻などのパーツの細かいところは省略しても構いません。指などもそうです。したがって、大きなかたまりの動きや方向などがしっかりつかめているかを目標にします。

クロッキーは毎日、あるいは時間の許す限り継続すると、それなりに効果が出てきます。最初の頃と、1ヵ月経ったときの自分の絵を比べてみるとその出来の違いにきっと驚くと思います。


2016年1月25日月曜日

日本画の筆と刷毛

日本画の絵の具とその溶き方、膠液の作り方、紙、紙のドーサ引きと紹介してきました。
今日は日本画で使う筆や刷毛について説明します。
インパチェンス

彩色筆
柔らかい筆です。面を彩色する際に使います。羊毛でできています。大きさには様々あります。たらしこみやぼかしの技法を使うには、数種類、数本持っておく必要があります。

隈取(くまどり)筆
ぼかし筆ともいいます。水を含ませて、ぼかしの表現を行うときに使います。筆先は丸くなっていて自然にぼかしの表現ができるようになっています。


線描筆
(1)面相筆
人物の顔や衣服などの細かな線で描く表現でよく用います。
(2)骨描(こつがき)筆
こちらも極細の筆で細かな線描表現に使います。

平筆
絵の具をよく含むので、色面を塗るときに用います。

付立(ついたて)筆
つけたて描法や線描に用いる長い筆です。絵の具の含みがよいです。

刷毛(はけ)
絵刷毛は広い面を塗る際に用います。ドーサ引きを行うにはドーサ刷毛を使えます。水刷毛は水を含ませて使います。空刷毛は砂子(すなご)を蒔いたあとの余分な砂子を落としたり、金箔や銀箔を貼る際に、最後に余分な重なりを落としたりする際に使います。

それぞれの筆をこうした技法に必ず使わないといけないというわけではありません。ただし、基本的には、それぞれの用途に合った筆があります。使い方に慣れて来たら、さまざまな筆を試してみて、自分に合ったものや、新しい使い方を試みてみても面白いかと思います。

そのほかにも洋画やアクリル、トールペイントなどにつかうナイロン筆や洋画用の動物の毛を使った柔らかめの筆なども柄を少し短くすれば使いよいものもあります。これらは自分がもっとも表現したいものに合った、書き味の良いものを使えばよいので、一概にこれをというわけではありません。ドーサ引きなども、ホームセンターの塗装用の仕上げ用の刷毛のなかには非常に使い勝手のよいものも見つけることがあります。こうした発見もなかなか楽しいものです。



2016年1月24日日曜日

日本画の塗り方

日本画の絵の具とその溶き方、膠液の作り方、紙、紙のドーサ引き、筆の種類と紹介してきました。
キク

今日は日本画で絵の具の置き方について説明します。

濃淡の違う墨や岩絵の具を2本の筆にそれぞれ含ませて、たらし込みやぼかしの技法に用います。ここでは墨の例をあげます。

たらし込み
墨を筆につけてまず目的の場所にのせます。乾かないうちにもう一本の筆に先ほどとは違う濃さの墨を含ませて、紙に筆を置くように垂らします。すると最初に置いた墨との間の水のはたらきで墨が散ります。こうして濃淡の自然なトーンが生まれます。これをたらし込みの技法といいます。

これは墨の濃淡だけでなく、岩絵の具の濃淡でもできます。さらに色の違い、粒子の細かさの違いなどでも行うことができる手法です。ふつうたらし込みも含めて日本画の色を重ねるときは、粒子の細かいものから大きい粒子のものへと重ねていくようにします。

そして明るい色から置き、だんだん暗い色を置いていきます。さらに薄い色から濃い色に向けて置いていくとよいです。

ぼかし
紙に置いた墨のあとに、今度は別の水を含ませた筆で、墨の変わり目近くをすっと引いていくように筆を動かします。

すると濃淡の美しいぼかしが出来上がります。

ため塗り
膠液で溶いた岩絵の具を筆にたっぷりすくいとり、ねらった場所に溜めていくように置いて、色の面を作っていく技法をため塗りといいます。

ちょうどすくい上げた岩絵の具を筆で目的の場所に置いて集めていくような感じです。これは岩絵の具の粒子の大きさや比重の違いを組み合わせていくと、じつに多彩な表現を演出することができます。

比重が大きい朱などの絵の具は下塗りした色のさらに下にもぐりこませることができます。ただし。下塗りの絵の具を置いて十分水分があるうちに行います。これによって下塗りの下の朱の粒子がわずかに垣間見えることによって、独特の色合いの深みを出すことができます。

そして、筆使いによって、濃淡の違いをつくることができます。あくまでも筆を置く感じを維持します。日本画の場合には色を重ねる場合、下塗りが乾いていないと、筆を引いてしまうと下塗りと一緒に色がずるずると一緒に動いてしまいます。

掘り塗り
輪郭線などの線をぬり残して両側に絵の具をその両側に置きます。塗り残した輪郭線をはっきり見せたり、弱くなじましたりいずれもできます。

これらの技法はいずれも最初に置いた方の絵の具が乾かないうちに行うのがポイントです。日本画は思いのほか水(膠液)を多用します。

いずれの技法も日本画ではよく使います。したがって練習用の紙に何度も習字の練習のようにやってみて、何度でも思ったとおりにできるようになってから、本紙にチャレンジします。何度も練習して自分がほぼ思い描いていた通りのぼかしや、たらし込みなどができるととても楽しいものです。日本画の醍醐味といえるかもしれません。





2016年1月22日金曜日

日本画の膠(膠)の溶かし方

日本画は、岩絵の具を紙などに定着させるために、膠を溶かしたもの(膠液)を使って絵の具を溶きます。これによって画面にしっかり絵の具をのせることができます。

乾かすとその上から何度も重ねて絵の具を置く事ができます。それには正式には固体の膠を溶かす準備を絵を描く前に行います。最近はこの膠を溶いた膠液を市販品で売っています。これを使うことでこの操作を省くことができます。

膠は動物の皮などから抽出したものです。食品ではゼラチンが最も近いといえるでしょう。固体の膠はペンチなどで適当な大きさに切り、水に浸してふやかします。このあと電熱器の上などでゆっくりと弱火で溶かします。溶けたあとは60℃以下で解けている状態を維持します。これで岩絵の具を溶くことができます。

できた膠液は冷蔵庫で3日ぐらいは使えます。したがってこの操作を面倒と思う方は、市販の膠液の使用をおすすめします。

日本画を描くときには、この膠液を保温する電熱器などを準備してその上に置いて使います。膠液は暑いときは少し濃いめにつくり、寒いときは少し薄めにつくります。絵の具の粒子を包むように筆ですくい上げるようにして、紙の上に持って来ます。


2016年1月21日木曜日

日本画に使う絵の具

日本画は岩絵の具を使って麻紙(まし)や鳥の子紙、画仙紙、美濃紙などの和紙や絹などに描きます。紙に絵の具を定着させるために膠(にかわ)液に溶いて使います。

今日は日本画で使う岩絵の具などについて紹介します。岩絵の具といっても画材として使う場合にはさまざまあります。主なものをここに示します。

天然岩絵の具
天然にある鉱物からくだいてつくります。粒子の細かさによっても色の違いや使い方で表現法が違ってきます。重ね方や置き方によって、下地の色が混ざって見えたり、粒子の違いで様々な風合いになったり、多彩な表現が可能です。その点日本画の岩絵の具は奥が深いです。最も高価なものです。

新岩絵の具
天然の岩絵の具の中には手に入りにくい鉱物もあるため、ガラスを原料に陶磁器の釉薬のように変化させて砕いたものです。したがって色はさまざまで、釉薬と同じようなものなので色はとても安定なものです。

合成岩絵の具
方解石や水晶などを細かく粉末にして、化学的に色をつけたものです。化学的に合成された人工の色素ですので、それこそさまざまな色が存在します。上の岩絵の具と比べて安価なものが多いです。

水干絵の具
天然の原料を水で練って作った絵の具です。牡蠣の殻から作る胡粉も水干絵の具のひとつになります。一部に人工的に胡粉などに色をつけたものも同様に水干絵の具として売られている場合もあります。

金箔や銀箔など金属をうすくたたいて延ばしたものです。プラチナ箔もあります。

泥(でい)
金泥、銀泥などがあります。これは金属を粉末にしたものです。銀でできたものは時間がたつと空気中で酸化して黒くなっていきます。

顔彩(がんさい)
顔料にアラビアゴムを加えて固めたものを顔彩といいます。写生などでは持ち運びが容易なのでよく用いられます。水に溶くだけで使えます。

胡粉(ごふん)
上で触れましたが水干絵の具のひとつです。地塗りに使ったり、胡粉を下塗りした上に
岩絵の具を上塗りしたりして使います。胡粉を下塗りすることで、肌の表現などは際立った美しさが得られます。






吉祥 岩絵具30色セットNo.1
鳳凰 水干絵具24色セット
吉祥 角顔彩 上製 24色
日本画の描き方

2016年1月16日土曜日

木工品の塗装について

木工品の組み立てができたら塗装をして、表面の汚れや湿気を防ぎ美しい外観にしましょう。

木地みがき
塗装を前に木工品を紙やすり(サンドペーパー)で磨きます。紙やすりは木切れなどに巻きつけて、平らな面を作って使います。目の粗い紙やすりからだんだん目の細かいものにしていくと上手く仕上がります。

木の種類によってはこうしてやすりがけしても、穴やすじなどが目立つことがあります。その際にはとの粉で目止めをすると滑らかな表面にすることができます。水でゆるくといて布などで木地にすりこむようにします。余分なとの粉はべつの布などでぬぐって落とします。

下地作り
下塗りにシーラー(下塗り剤)で下地を作っておくと、仕上げに使う塗料が木地に吸い込むのを防げます市、塗料が塗りやすく滑らかに仕上がります。シーラーは木地と塗料の間に入り塗料がしっかりつき、しかも美しく仕上がります。したがってシーラーで下塗りすることで仕上げの塗料を節約できるわけです。

塗り
下塗りが乾いたら、目の細かい紙やすり(300番程度)で軽く磨いて、塗料のつきをよくします。仕上げに使う塗料ははけで中ほどの部分から刷毛を動かして塗ります。端から塗ろうとすると刷毛が、端の部分でしごかれて塗料がたれてしまうからです。動かす方向にはけを少しだけ傾けると上手く塗れます。塗りむらがないか確かめながら塗ります。

ニスを塗料の代わりとする場合には下塗り上塗りに分けて2度塗ります。塗料の場合と同様に、下塗りのあと300番程度の紙やすりで軽くこすってから上塗りをします。

2016年1月12日火曜日

木で作る工芸品

木を使って自分のお気に入りの品物をつくってみましょう。木は切ったり彫ったりすることで自分の気に入った形を作ることができます。
コスモス

木には木目の模様や木肌のもつあたたかさなど他の素材にはない良さがあります。その特長を生かして作りましょう。

のこぎりを使うときはしっかり固定して切りはじめは、親指などを当ててのこ身をゆっくり引いて、のこ道がつくようにします。自分の顔、のこぎりののこ身、引込み線が直線に並ぶような姿勢をとることがのこぎりを使ってまっすぐ切るコツです。

日本ののこぎりは、引くときに切ることができます。のこ身全体をしっかり引いて切るようにします。

糸のこを使うときには、糸のこ刃は下向きにつけます。しっかり固定するようにします。電動糸のこ盤を初めて使うときは、必ず使える人についてもらいましょう。

板をしっかり押さえて、刃に力がかかり過ぎないようにゆっくりと切っていきます。こまかなところは、糸のこよりも木工用のやすりを使ったり、紙やすりで削ったりしてもいいです。また、小刀やのみで削ったりもします。小刀やのみを使う場合には、作業する場の目の前に人がいないことを確かめて使います。

接着が必要な場合には木工ボンドを使い、接着したあともしばらくしっかり動かないように固定しておきます。よりしっかり固定したい場合にはほぞを作ったり、釘を打ったりして固定します。

木は角をけずったり、やすりをかけたりして丸めることで、手触りがよりよくなります。このように素地磨きをして、仕上げに塗装をするとできあがりです。
素地磨きは100番以上の紙やすりをだんだん細かいものに変えながら磨いていくといいです。

塗装にはラッカーやニスなどを使います。最近は水性の木工用のニスもあり使いやすいです。また、木製のサラダ用のフォークやスプーンなどのばあいには、サラダ油などの油を使って、布や皮などで磨くこともできます。木製の食器の場合には水性のウレタンニスなどもあります。

幼児が使う木のおもちゃなどの場合には、口に入れたりしがちですので、素地磨きだけで十分です。特に木のささくれなどが残らないように仕上げないといけません。磨くときや細かい作業をする際には、万力やクランプなどで固定して作業するとやりやすいです。


2016年1月10日日曜日

鑑賞 大原美術館の紹介

岡山の倉敷の立ち寄ることがあったら、ぜひ大原美術館に訪れてみてはいかがでしょうか。
コスモス

日本の美術館のなかでも来館者の多いことで知られています。それもそのはずで、東京の国立西洋美術館ブリジストン美術館などの松方コレクションなどと並ぶ、世界の名だたる画家のしかも代表作に等しい絵画まで所蔵する日本屈指の美術館のひとつです。

絵画の収集に当たっては画家の児島虎次郎の進言で、日本にまともな西洋美術のまとまったものがないことを資金面で支えた実業家の大原孫三郎氏に進言し、大原氏より一任されて何度かの渡欧の末に、苦労のうえで集めたものです。

なかでもエル・グレコの「受胎告知」は彼の代表であるこの作品が日本にあるのは奇跡に近いとよく言われています。

それから
モネの連作のシリーズから「睡蓮
ゴーギャンかぐわしき大地
ルノアール泉による女
セガンティニアルプスの真昼
などは大原美術館の代表作品というだけでなく、美術の教科書や画集などでもおなじみのそれぞれの画家の特徴が現れた時期の有名な作品です。

もちろん、ゴッホ、ピカソ、マチス、ミロ、カンディンスキー、ユトリロ、ロートレック、セザンヌ、シスレー、もろー、ミレー、シャガール、ブラックなど数え上げたらきりがないほどの世界を代表する作家の作品があふれています。

同時にここには日本を代表する画家の絵についても重要な絵画(国の重要文化財)があります。陶芸・工芸も有名です。