2016年1月5日火曜日

油絵の溶き油の使い方

油絵についてのお話をします。油絵の具は絵の具を溶くのに水を使いません。その代わり薄めたいときには、溶き油を使います。テレピン油という松の木から得られる油に適量の乾性油を混ぜて使います。

ここで不乾性油と乾性油のお話をしないといけません。油には長時間置いておくとかたく固まってしまうタイプの油(乾性油)と、ほとんどさらさらのままで揮発しやすく固まらない油があります(揮発性油、不乾性油)。

溶き油の種類
*不乾性油(揮発性油)の例…テレピン油、ペトロール
*乾性油の例…ポピー油、リンシード油
*ワニス…パンドル、ルツーセ

ぺトロールは石油から得られますが、その他は植物油です。3つめのワニスはニスともいい、絵につやを与えます。絵の具の乾きを良くし、固い層をつくることもできますから上塗りにも使います。

このように油絵は時間をかけて乾燥させていく絵の具を使います。つまり乾性油を中心に固める働きをしますが、それだけでは描きにくいので、さらさらの不乾性油を混ぜて絵の具の伸びをよくします。

溶き油の混合の一例
描き始め…テレピン油:パンドル=3:1
途中…テレピン油:パンドル:リンシード=3:1:1
仕上げ…テレピン油:パンドル:リンシード=3:2:2

のように、各々の油の比率を変えて次第につやを帯びるように、そして堅牢な絵の具の層を作っていくようにします。どうしてそのようなことをするかというと、テレピン油が多すぎると時間が経つにつれて、画面にひび割れが目立つようになります。しかも乾くにつれてつやも消えてしまうからです。

そこで上であげたルツーセ(使いよいようにスプレー缶になったものがあります)でつやを出しておいてから描き足すようにする場合もあります。

最近は①と②の過程で汎用として使いやすいように、すでに混ぜ合わせてある溶き油(ペインティングオイル)が市販されています。これを使うとわずらわしい調合をしなくても快適に描くことに専念できます。しかし、油壷を開けたままにしておくと、揮発性の成分が揮散してしまい、ねっとりしたペインティングオイルのなってしまうことがあります。

こうしたときはペトロールかテレピン油を少し足して絵の具の伸びをよくします。したがって、揮発製油の小さなびんを用意しておくと、こうしたときに使えます。

それから逆に、上にあげたワニスを余分に混ぜますと、油絵独特のしっかりしたつやがあらわれます。少しねっとりしていますので②や②の段階で少しずつ比率を上げて用いるようにします。

筆についたままの油や絵の具はそのままにしておくと固まって筆として使えなくなってしまいますから、このようにしてきれいにします。

筆についた余分な絵の具を古布でぬぐいます。
ペトロールを十分に入れた筆洗に入れてしっかり落とします。最近は筆洗液として売られているものもあります。ぺトロールに水を等量入れて密閉できる容器に入れると携帯に便利です。水を入れておくと2層に分かれてペトロールをいつもきれいな状態に保てます。ペトロールをきれいな古布でぬぐい乾燥させます。
このあと水で石鹸をつけて筆先を洗い乾燥します。この水洗いは3度使ったら1回行う程度で構いません。動物の毛の筆は洗いすぎると腰が無くなるからです。





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