2018年1月30日火曜日

日本古来の「かさね」の色

日本には古くから染物や染料で好まれた色があります。源氏物語にも様々な装束の色や「かさね」の表現があります。

たとえば「桜のかさね」とは紅梅の色の布に紗のような透ける布を重ねて、紗を通して下地の紅梅の色が、桜の花びらのような淡い桃色に近い色として微妙な色みの表現がなされています。季節ごとにこうした色の装束をつけて、季節感をあらわし、楽しんだようです。

このような色使いはかさねの色目(いろめ)といわれます。四季の目書くな日本ならではの日本人の感性が感じられます。

ほかにも「萩のかさね」や「雪の下のかさね」など色もそうですが、語感も日本的で何とも奥ゆかしく感じられます。

下図は「桜のかさね」です。

桜のかさね

2018年1月8日月曜日

動植物を描く

動植物の特徴をよく観察して描いてみましょう。植物と動物ではその特徴は異なります。では動物の特徴とは何でしょうか。

動き回りますね。したがって絵にするのはなかなか困難です。ですからよく観察して、部分ごとでもいいですからその特徴を捉えるようにします。何より観察です。

それでは植物はふつう動かないから、描くのは簡単かというとそうともいえません。植物には植物なりの特徴があります。その特徴、例えば葉を描こうとしてもなかなかその様子を描こうとすると結構手ごわいことがわかります。
その特徴を表す形や色を表現するのも興味深いです。

これらにはいずれも何度も描く練習が必要です。画家のドガは、踊るバレリーナの一瞬の動きの様子を写真のようにとらえたデッサンがあります。高速で走る馬を描いたものもあります。こうしたデッサンが描けるのは、巧みなデッサン力とともに観察力があるからです。これは一朝一夕で生まれる技術ではありませんが、繰り返し描くことで皆さんも少しづつその技術に近づくことはできます。


身近な自然の生き物を描くことは、皆さんそれぞれ一番いい条件のものを描けるチャンスをいずれの人にも与えられています。というのは身近なペットや自分で育てている生き物です。こうした生き物こそ、一番いい色やかたちを示している時がわかるでしょう。したがって、自分の身近なところ、例えば家の中でもそうした生き物を描くことはできます。

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2018年1月7日日曜日

ポスター練習問題

ポスターに関して練習問題を作りました。

問1.次の問いに答えよう。

(1)次のポスターの製作手順のうち、いちばんあとになるのはどれですか。 記号で答えよう。
 ①テーマを考える。
 ②テーマに関する写真が画像を集める。
 ③考えたスケッチとキャッチコピーを効果的になるように配置してみる。

(2)ポスターにおいて、文字を入れて人々の目を引き付けることがあります。こうした文章や言葉を何といいますか。

(3) 関係する画像(著作権に注意)を集めたり、写真を撮ったりする際に気をつけることはどんなことですか。

(4)ポスターの中で使う文字をデザインする作業を何といいますか。

(5)スケッチしたものや文字の配置のことを何といいますか。
(6)ポスターカラーで色をのせるときには、どういった部分から着手するといいですか。

(7)白い背景に白い文字を入れたい場合には、どのような表現をするといいですか。

答え (1)③ (2)キャッチコピー (3)著作権(あるいは肖像権) (4)レタリング (5)レイアウト (6)広い面積や背景になる部分 (7)(例)文字の周囲に細く色を入れる (別の例:文字の部分のみ、背景の色をつける)

2018年1月6日土曜日

自然の形の構成

自然にあるものをよく観察して、その形のもつ美しさや面白さを捉えてみましょう。

例えばキャベツを縦に大きく切断すると、葉の積み重なった様子を観察することができます。ちょうど木の幹と枝が伸びている様子を真横から見たような姿ともとらえることができます。

またキャベツをうえから見ると、葉が規則正しく積み重なっていることがわかります。幾何学的な模様として捉えることもできます。

また同じくキャベツを横で切断すると葉の積み重なりを今度は横から捉えることができます。ある規則にしたがって葉が何層にも積み重なっている様子を多角形のようにみなすこともできます。

そういった造形を全体や部分で捉えてみます。その興味を持った部分について、単純化したり、強調を加えたりして、造形をデザインします。これを構想といいます。

そして、下書きをさらに発展させて着色してみましょう。みたとおりの色である必要はありません。むしろ自分が強調させたい、興味をもったところをはっきりさせたいのであれば、アクセントとなる色を決めて、自分なりの色どりで塗ってみるといいです。

表現の方法を工夫するには次のような方法があります。

(1)直線を使って単純に描いてみる。
(2)円や多角形などを中心にまとまりをもった表現にしてみる。
(3)輪郭線で描いてみる。
(4)実物をそのままスケッチしてみる。

このような工夫(あるいはそれぞれを組み合わせる)によりデザインをします。


2018年1月1日月曜日

鑑賞 日本の美術 (前半部分)

日本の古代の美術は素朴で力強いのが特徴です。

縄文土器土偶には宗教的な意味合いが込められたものも見られます。
これが稲作が始まる弥生時代になると、弥生土器は高めの温度で焼くことができるようになり、幾何学模様が多くなり、薄くて、ろくろの技術を用いたものが出てきます。金属の鋳造(鋳型を使う技術)によって、銅剣、銅鏡、銅鐸などが作られるようになりました。これらも様々な儀式や王の権威を示す道具に使われたようです。

古墳時代の埴輪は土を焼いて大王や身分の高い人の墓などに備えられました。作ったものです。素朴なものが多いですが、様々な造形から当時の生活がよくわかります。伊勢神宮の神明造(しんめいづくり)や出雲大社の大社造はこの時代からずっと伝えられているつくりです。また高床の倉庫など気候風土にあったつくりのものも見られます。

飛鳥時代になると、大陸から仏教が伝わり、仏教美術がひろがり急速に文化が変容します。
工芸では玉虫厨子、仏像では釈迦三尊像、百済観音像など法隆寺には当時の文化の様子を伝えるものが国宝として現存しています。また広隆寺の弥勒菩薩像は一木造(いちぼくづくり)、中宮寺弥勒菩薩像は寄木造(寄木造)の当時を代表する仏像です。

奈良時代になると、大陸の影響を強く受けた彫刻や建物作られ、写実性のある絵画が描かれるようになります。

白鳳文化
前半の白鳳文化は、飛鳥時代から奈良時代はじめの清新な文化です。法隆寺金堂壁画(現存する日本最古の肖像画)です。大陸の様式や技法の起こりは大陸の影響が強く見られます。高松塚古墳壁画もこの時代のものです。また法隆寺金堂、五重塔)はそうした大陸風の文化を色濃く反映したものです。薬師寺東塔もこの時代を代表する建築です。仏像では薬師寺薬師三尊像があります。

天平文化
後半の天平文化は貴族好みの力強く国際的な文化です。中国では唐が全盛期を迎え、その文化の影響が色濃く出ています。鳥毛立女屏風(とりげだちおんなびょうぶ)、薬師寺吉祥天像があります。正倉院は校倉造(あぜくらづくり)の建物で、唐招提寺金堂は寄棟造(寄棟作り)の建物です。

平安時代になると、唐が衰え、遣唐使が廃止されて、貴族好みの日本独自の洗練された国風文化が栄えます。絵巻物と呼ばれる源氏物語絵巻大和絵の技法で描かれています。軽妙な筆致でアニメの源流とも言われる鳥獣戯画、彫刻では平等院鳳凰堂阿弥陀如来像定朝の作)、建築では平等院鳳凰堂寝殿造)がこの時代のものとして有名です。

鎌倉時代になると、武士の好む力強い文化が栄えます。似絵(似絵)と呼ばれる武士を描いた絵画や、軍記物といわれる平治物語絵巻などが描かれます。彫刻では運慶・快慶の作の東大寺金剛力士像が有名です。建築では東大寺南大門(大仏様)、円覚寺舎利殿(禅宗様)があります。

また別の機会に日本の美術の後編をまとめます。


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